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『チョコレート』
【※ネタバレあります※】


チョコレート原題:Monster's Ball
製作年:2001年
製作国:米国  96min.

・監督:マーク・フォスター
・出演:ハル・ベリー/ビリー・ボブ・ソーントン/ヒース・レジャー/ピーター・ボイル/ショーン・コムズ 他

チョコレート - goo 映画
チョコレート - allcinema ONLINE


評価:★★★☆☆(3点/5点)
・2005/05/01 fox


 日本用のタイトルをつけたことで勝ちに結びついた映画。「チョコレート」の意味合いを考えさせられ、うなってしまう。

 原題は「Monster'sBall」。このままでは何のことだかわからない。『モンスターズ・ボール』とする道もあったのだろうけど、そうはしなかった。しかも、『チョコレート』という題名でなかったとしても、この映画の価値は半減してしまうと思う。「チョコレート』という小道具が重要な役割を果たしていた映画だからこそ、そして、最も重要なシーンで「チョコレート」が使われていたからこそ、このタイトルには価値が出た。



After Cinema~ネタバレ映画投稿Blog:チョコレート

原題は「Monster's Ball」。この意味は死刑執行人たちが処刑の前夜にひらく宴と言う意味。グリーンマイルにそんなシーンがあったか覚えてないけれど、そんな宴があるらしい。この言葉の意味を知って「おやっ」と思う。深い意味が込められている。


 上記のように、死刑執行人の宴というのが原題の意味らしい。それでも何だかパッとしないように思う。死刑が隠されている日本だからかもしれない。合衆国の文化に精通していないとちょっと苦しいタイトル。だからこそ、邦題をつけた人には拍手を送りたくなる。



 物語は、親子三代で死刑執行人の職につく家庭の「息子」の話。「父」は既にリタイアし、年老いて不自由が出てきている高齢。「孫」はまだ若く、死刑執行に失策してしまう未熟さ。

 「父」は黒人差別を推奨し、敷地に黒人が入ると、追い出せと「息子」に言う。複雑な表情を浮かべながらも忠実に黒人を強圧的に扱い追い払う「息子」。黒人差別というテーマが浮かび上がるけど、これが「チョコレート」とのリンクを想像させる。

 いっぽう「孫」の失策を「息子」は責め、自殺に追い込んでしまうという重い展開。「息子」は「父」との葛藤をもつとともに、「孫」を死に追いやるという十字架を背負ってしまう。ここに「息子」の心の中での家族の断絶を見るのだが、親子三代、同じ職業につきながら、価値観を異にしている点が興味深い。

 「父」と「息子」は職務に忠実だったし、それを疑わなかったけれども、「孫」は職務に対して疑問をもち、葛藤していた。「父」は黒人を侮蔑していたけれども、「息子」は積極的な排撃はしたくなさそうだった。「孫」に至っては友好的だった。

 この世代の断絶、世代価値観の変化は、合衆国の価値観を象徴しているのだろうか。



 「息子」は喪失感を抱えるなか、やはり息子を失う黒人女性と出会い、交流を深めていく。実はこの女性の夫の死刑執行を自分自身がつとめている。むりやりな展開と思いつつ見た。設定もそうだけれど、「息子」が黒人女性に惹かれていく理由がいまいち納得できなかったから。

 黒人という「父」が蔑視する対象と交流を深めようとすると、そのモチベーションは非常に高いものがなければならないと思うのだけれど、息子を失ったという共感だけでは何となく物足りない。きっと女性として惹かれたという理由が大きいのだろうけれども、何が魅力だったのかがいまいち物足りなかった。

 黒人女性の息子が好んで食べたのがチョコバー。「息子」が黒人女性の働くレストランで頼むのがチョコレートアイスクリーム。このあたりの共通点というのがうまいなと思う。「チョコレート」がその色と連想させて象徴するのが黒人であれば、「息子」の深層心理では黒人への憧憬があったのだろうし、黒人女性はその姿を見て、自分の息子の喪失感を埋め合わせる何かを見たのだろうと思う。



 映画のラストシーン、「息子」に不信感を抱いていた黒人女性の心を戻したのもチョコレートアイスクリーム。はっきり不信感が拭われたのか、描き方は微妙なのだけれど、僕は氷解していると思う。チョコレートアイスクリームは、黒人女性の心の不信感を象徴してて、溶けていくものだと思うからだ。

 こういう小道具の使い方、テーマの消化の仕方が完成度が高いと思った点。そして、僕がこういう考えに至るには、「チョコレート」というタイトル以外にありえなかった。




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チョコレート
チョコレート@映画生活
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