人間喜劇
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 痛ましい事件がおきた。

小6女児、塾で刺殺される…23歳講師を逮捕 (読売新聞) - goo ニュース

 10日午前9時ごろ、京都府宇治市神明石塚のビル2階にある学習塾「京進」宇治神明校から、塾アルバイト講師で同志社大法学部4年萩野裕(ゆう)容疑者(23)(宇治市寺山台)が「教室内で女児を刺した」と携帯電話から110番通報した。
 駆けつけた市消防本部の救急隊が、同市開町、京都府職員堀本恒秀さん(42)の長女で市立神明小6年、紗也乃(さやの)さん(12)が首から血を流しているのを見つけ、病院に運んだが、間もなく死亡が確認された。宇治署は、現場にいた萩野容疑者を殺人未遂で現行犯逮捕、容疑を殺人に切り替え、動機や包丁の出所などを追及している。

 調べによると、萩野容疑者は塾の教室内で、紗也乃さんの首や顔など数か所を出刃包丁(刃渡り17センチ)で刺した。教室内に犯行に使われたとみられる包丁やハンマーが落ちていた。萩野容疑者は「紗也乃さんと口論になり、包丁で刺した」と容疑を認めている。萩野容疑者はこれまでも紗也乃さんと度々、トラブルになっていたといい、府警は同容疑者から犯行の経緯や動機などについて、さらに詳しく事情を聞いている。

 京進ではこの日、中学入試の合否判定テストが行われ、宇治神明校でも午前9時から紗也乃さんを含めた児童が受ける予定だった。テスト前、萩野容疑者は「国語のアンケートを取りたい」とほかの児童を別の教室へ移動させ、国語を取っていない紗也乃さんを現場の教室に残して刺したとみられる。また、京進によると、紗也乃さんは周囲に、「萩野容疑者の担当している国語の授業は受けたくない」と話していたといい、今月から、国語の授業に出なくなったという。

 神明小の杉左近昭男教頭によると、紗也乃さんは今年4月に東京から転校してきたばかり。

 萩野容疑者は同志社大学法学部に2001年4月に入学。03年6月26日、同志社大学今出川図書館で、いすの上に置いていたカバンから財布を盗もうとしたのを警備員に見つかり、抵抗した際に警備員にけがをさせたとして強盗致傷で現行犯逮捕された。このため、萩野容疑者は03年10月1日から今年3月31日まで停学処分となり、03年11月から京進宇治神明校で講師のアルバイトを始めていた。

 萩野容疑者と紗也乃さんは「以前からいがみ合っていた」といい、この日、萩野容疑者が中学入試の合否判定テストの監督を務める予定だったが、塾側が2人の関係に配慮して監督を同僚講師に代えたほどだった。(全文転載)


 本論に入る前に、この読売新聞の報道姿勢を問いたい。読売は過去の――今年で言えば、福知山線事故の――報道姿勢への反省と改善をまたも怠っている。

 事件当事者の「社会常識を逸脱した」プロフィールをあげつらい、検証もなしに、さもそれが事件との因果関係をもっているかのようなかたちで掲載している。

 事件を断罪するのはメディアの役割ではないし、世論をリードするのもメディアの役割ではない。何度批判されたら反省するのか、呆れざるを得ない。



 さて、この事件の本質を考察すると、一対一の人間同士の関係のもつれだと感じる。ただ、精神的に未熟な人間同士の関係である。この点において、事件は防ぎようもない性質のものだと思う。人間関係をうまく乗り切れない者が社会の中に登場しない方が不可能というものだろう。

 問題は、その二人の人間を出会わせた場が、教育サービスの現場である塾という点にあるだろう。



<京都小6殺害>また子どもが犠牲 塾での事件に驚き、怒り | Excite エキサイト : ニュース

 なぜ、子どもが相次いで犠牲になるのか。京都府宇治市で10日午前、市立神明小学校6年、堀本紗也乃(さやの)さん(12)が殺害された事件。広島、栃木両県で、小学生の女児が通学路で襲われ、学校や自治体、地域が一体となって子どもを見守る活動が活発化する中、今度は安全なはずの教育施設で事件が起きた。しかも容疑者は、子どもを守る立場の学習塾講師だった。二重のショックと怒りが渦巻いた。

 紗也乃さんが通っていた神明小学校は事件発生を知らされ、同日午前、教職員を緊急招集し、対応を話し合う職員会議を開いた。杉左近昭男教頭は「今朝10時前に市教委から連絡があって状況を聞いた。大変、残念なことになった。こんなことになるとは思ってもみなかった。子供たちの心のケアを含め、今後の対応を考えねばならない」と沈痛な表情で語った。

 紗也乃さんは、3年生の3学期に神明小に転校してきた後、東京へ転校し、今年4月に再び同小に戻ってきた。「おとなしい子」という印象で、勉強熱心で成績もよく、前期は手芸クラブと飼育委員、後期はソフトバレー部と運動委員に所属。ウサギの世話などを熱心にしていたという。

 逮捕された塾講師の萩野裕(ゆう)容疑者(23)について、勤めていた学習塾「京進」の本社(京都市下京区)は「何も答えられない」。

 しかし、同小に通う女児は「(萩野容疑者について)紗也乃さんが『変な感じ。嫌な感じ』だって話していた」と明かした。

 神明小と塾で紗也乃さんと同級生の男子児童(12)は「(萩野容疑者は)国語の先生で面白くて明るく、『萩野先生』と呼ばれていた。ただ、2週間ぐらい前に堀本さんが問題集を忘れてきた時に、『なんで約束破るんや』と怒っていたのを覚えている」と話し、事件後、待機していた塾の事務所から、父親に付き添われて帰宅した。

 現場周辺は住宅が建ち並ぶ静かな場所。近くの主婦は「この地域では、小学生の保護者が自転車で地域パトロールをしているが、塾の中で殺されたのでは止めようがない」とショックを受けていた。

 紗也乃さん方の近所で文具店を営む女性(74)は「店には小学生も来るので、(紗也乃さんと)顔を合わせたことがあるかもしれない。子どもを守ることを真剣に考えないといけない」と憤りを隠さない。

 ◇「どこでも友達がたくさんできた」堀本さんの友人

 紗也乃さんが3年生の時に転校し再び戻ってくるまで、ずっと文通を続けていた同小の同級生(11)は「お父さんの仕事の都合で、あちこち転勤していたけど、どこでもすぐ友達がたくさん出来た。東京にいる時も、元気そうな、カラフルな手紙がいっぱいきた。色白でおかっぱの可愛い子。勉強も得意で、いい子だった」と話した。

 この同級生の祖母は「大きな声であいさつもしてくれて、元気そうだなと思った。いろいろな事件が起きて、うちの孫も母親が送り迎えをしていたところだったのに……」と声を詰まらせた。

 ▽子ども守る存在が 尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)の話 塾の講師は、その仕事が子どもの学力を上げるという行為に特化する面があるとはいえ、基本的には学校の先生と同じく通ってくる子どもの命を守る義務のある存在で、教室で殺人事件を起こしたことは大変ショックだ。子どもには学校の先生も塾の先生も存在感は変わらないし、親にしても、学校で担任の先生に自分の子どもが殺害されたのと変わらない衝撃を受けるはずだ。最近、子どもを狙う事件が相次ぎ、子どもが教室に着くと家庭に連絡を入れて確認するなど安全に配慮する塾も増えてきていただけに、塾を舞台にした事件が起きて驚いている。

 ▽学習塾の事情に詳しい森上展安・森上教育研究所代表の話  塾講師は生徒と接する時間が限られており、信頼関係が築きにくい。塾講師の採用は特別な免許や公的な基準がないため、経営者側は性格や過去のトラブルなど、人物像をしっかり把握すべきだ。人気があったり、教え方がうまいかどうかだけではなく、普段子供に接する態度や性癖についても厳しい目で見ていく必要がある。
(全文転載)




安全対策の想定外 塾関係者に衝撃 京都・宇治女児殺害 (朝日新聞) - goo ニュース

 学習塾の講師が子どもの命を奪った。「ありえないし、あってはいけないこと」。想定外の惨事に、塾の関係者は衝撃を受けた。

 大阪のある学習塾は、インターネットや新聞折り込みのチラシで講師を募集している。大学やサークルを通じた紹介も有力な手段だ。

 講師の採用にあたっては、志願者を1度登録した上で説明会を開き、筆記試験と2回の面接を実施している。本社で教科指導や子どもの心をつかむ話し方、個人情報の取り扱い方などの研修を延べ24時間受けさせ、各教室へ着任させているという。

 「不適格者」については、面接で目の動きや表情を見たり、志望動機や子どもに対する思いを書いた作文などで判断するという。

 各塾ともスクールバスを走らせたり、防犯ブザーを配ったりしている。子どもの帰宅路には講師を立たせるなど、教室外の安全に気を配ってきた。

 「京進」も防犯活動に力を入れていた。同社のホームページによると、昨年12月から、近畿地方を中心に140校以上を「子ども110番の家」に登録する活動をしていた。また、「不審者対応マニュアル」を社内に整備。奈良県内の教室では、警察署員を招き、不審者が侵入した時の対応などの説明を受けていた。

 しかし、講師が子どもに危害を加えるような想定はしていない。関係者によると、京進は近年、個別指導の教室を増やしており、「講師の確保に苦労していたようだ」との指摘もある。

 塾経営の経験がある森上展安・森上教育研究所社長は「若い世代の講師は、実際に教壇に立ってみると子どもに対してすぐ怒鳴るなど、子どもに対する寛容さが低くなっていると聞いている」と言う。「子どもたちに接する人としての態度を一定の試用期間を設けて点検するなど、講師の監察制度が必要だ」と強調する。(全文転載)




 公的教育機関の教師もまた犯罪を犯してニュースに取り上げられ続けるのだから、こうした事件を完全に防ぐことは不可能と思う。そのうえで講師という立場の人間をどうコントロールするかという点には、反省と改善が可能である。偶然にも僕はこの業界の事情を知らないわけではない。



 大学生などを講師というアルバイトの立場で雇用する際に、その時給は授業時間に対して払われ、拘束時間ではない。つまり、授業以外の時間帯は、アルバイトはタダ働きをさせられるわけである。その分授業時間に対しての時給は2000円台と高めに設定される。

 しかしながら、一時間の授業を展開するために必要な準備時間――予習や教材準備――はその二倍以上は必要で、結局は割に合わない仕事となる。つまり、一回の授業を展開するのに授業時間も含めて三時間は拘束されることになり、2500円の時給であれば、830円程度の時給計算となってしまうのだ。

 しかも、最近の塾業界は競争が激しく、無料授業をサービス展開している。ある塾が、定期テスト対策の授業は無料提供をするというサービスを採用し、他塾もそれに追随せざるを得なくなってしまったのだ。

 そのサービスにより生徒数大幅増などの収入に寄与すれば大して問題でもないのだろうが、大抵の塾が横並びでそうしたサービス展開をしていれば、収入増は望むべくもない。収入のないサービス展開をして、社員のほうはタダ働きを迫られるかたちになる。

 この業界の重大な欠陥である。サービスに対して適正な対価をもらうのが社会の健全な姿であり、こうした構造を抱え続ける業界に問題が露出しないわけがないのだ。

 社員は月給が保証されているが、講師側は、時給を半額支給されるのがこの定期テスト対策の給与事情だ。教えることが大幅に増えるのに時給は低まるという矛盾は、講師たちの教育に対する情熱に負うより他ない状況となっているのだ。

 しかし、アルバイトを始める学生は、この事情をよく知らない。額面を見て、時給が高いという印象を持ちながら働き始めて、割りに合わない仕事であると後に気付くのである。

 こうした構造の中で、講師の権限は大きくなるわけだ。デスクという教室内の居場所が与えられ、子ども達の進路指導を行う。前述の時給と比較すれば、余りに大きすぎる権限であり、同時に負担である。塾経営者は、講師たちの情熱に頼り、甘えながら業務展開をしている状況が明白だろう。

 現状の時給制度を続けるのならば、講師たちの教育技術には社員以下のもので甘んじるべきだし、一時間の授業を埋められればそれで満足すべきだ。それ以上の進路指導やテスト対策を期待すべきでない。

 以上が、本質的な構造的欠陥の指摘である。

 今回の事例では、当該講師が凶器を隠し持てるデスクを与えられていた様子だし、授業以外の場面で生徒を管理できる立場にあったという点で、大きく権限超過の状況にあったと思われる。しかし、講師に甘えていたからしっぺ返しをくったと考える。



「過去に例ない」同志社大が陳謝 京都女児殺害 (朝日新聞) - goo ニュース

 「大学130年の歴史として過去に例がない事件。一人一人を大切にしてきた同志社として大変重く受け止めており、慚愧(ざんき)の念に堪えない」

 京都の小6女児殺害事件で、10日夕、同志社大で会見した八田英二学長は沈痛な表情で陳謝した。

 03年6月の事件後、萩野容疑者が所属する法学部教授会は「反省しており、警備員のけがも軽傷だった。再び教育の機会を与えるべきだ」と退学処分は見送り、10月1日付で1年半の停学処分とした。

 ところが停学中、大学側が萩野容疑者と接触したのは、停学が解ける直前の05年3月25日、学生主任の法学部教授2人が萩野容疑者と父親に20分間面会した一度きりだった。「反省の態度を示し、今後の勉学への意欲もあり、特に異常な様子はなかった」(佐藤鉄男法学部長)として復学を認めていた。

 佐藤部長は「個人的には今思うと、本人の心の相談をすることがあってもよかった」と語った。
(全文転載)


 大学に人格教育ははじめから期待しないだろう。むしろ、雇用主が人材の性格を把握できるよう努力をすべきだったと思う。繰り返しになるが、公的教育現場でさえ不心得者は続発するのだ。完全な人材管理はできないだろう。

 それでもリスクヘッジとして、そうした人間を排除しようと努めるのならば、給料と権限の不均衡を是正し、モチベーションが社員よりも低いアルバイトには、権限を委譲しないことである。あるいは、もっと時給を上げ、モチベーションをあげることだ。

 人件費こそが、最大のリスクヘッジとなると考える。



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