人間喜劇
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『封神演義』

封神演義〈上〉


封神演義〈中〉


封神演義〈下〉



安能務・翻訳『封神演義』(上・中・下)(講談社文庫 1988/11)
●目次

読書期間:2005/06/02-09/02
評価:★★★☆☆(3点/5点)


 週刊少年ジャンプの連載でアニメ化され、大人気を博した『封神演義』。当時、小説の方を買っていたのだが、読まないでそのままになっていた。ケーブルテレビでアニメが再放送されたのを機に、思い出したようにノロノロと読んでみた。

 なにしろ一冊500ページが三冊に及ぶ大作。そして、どうも性に合わないので、読むスピードも遅くなってしまった。漫画の方はおもしろいのに、小説の翻訳となるとつまらなくなるのは何でだろうと思うと、日本人の感性に合うように描き直している点に原因がありそうだと感じる。



 日本は海外の文化を取り入れて消化する歴史を辿ってきた。古くは中国から儒教を、インドから中国を渡り仏教を、欧米から近代思想を。その思想は日本人に当然のものとして日常に染み付いているのだが、なにせ『封神演義』は道教思想。儒教思想を自分のものとしている日本人にとって、道教の感覚はさっぱりわからないのだ。そこに理解できない原因があるのだろう。

 たとえば仙人が殺戮を犯すことを当然のこととして描いているが、「人間を超越したもの」が殺戮という行為を犯すことは、日本人にとって納得できないものだと思う。「超越者」は、罪を犯さないというのが我々の観念としてあるのではないだろうか。それは、上に立つ者は徳があるという儒教思想でもあるだろう。

 後年、儒教思想により歪められている部分があると翻訳者は指摘するが、ストーリーの根本で道教思想が貫かれているから、納得できようもないのだ。



 『封神演義』の成立を考えてみると、講談という形式で庶民に親しまれ、何百年も語り継がれる中で、儒教思想の世に文章化されたというかたちだと思う。だから、全百回の章立てになっている。

 ということは、一回一回の章が起承転結に貫かれ、最後は「続きはまた次回のお楽しみ」と締められるはずだ。だから、途中で同じようなパターンの話が繰り返される。これが飽き飽きとしてくる。



 西洋の合理思想も染み付いている現代人とすれば、そもそも「封神」という行為の非合理性に首をかしげざるを得ない。敵対する相手に対して、殺されるとわかっている弟子をまずは戦わせて戦死させ、その後に師匠が敵を倒すというパターンが延々と続いたのには閉口した。無駄な戦死者を出すなど、合理的でなくて納得できない。

 戦争の仕方も中国の何時代のものなのか疑問である。武将同士が戦って軍の雌雄が決するというのは、戦争の形式としてどうなのよと思うし、城に免戦牌をかけておけば、攻められないという戦争のルールも疑問だ。本当にこんなやり方があったのか?



 物語構成の欠点としては、キャラクターの使い分けと強さのインフレが挙げられる。

 まずもって主人公の姜子牙(太公望)が弱すぎる。基本的に敵にやられて怪我ばっかりしてるし、軍師として才能があるかといえば、目をむくほど頭が良い戦略は見られない。こんなので、どうやって肩入れしていけるのだろうか。

 姜子牙の周りを固める主だった武将達も、どこの馬の骨かもわからないようなキャラにやられて、簡単に死んでいくというのが納得できない。「封神」に話のつじつまを合わせるためとは言え、無理矢理すぎる。

 また、敵の聞仲が最大の敵かと思っていたら、物語の中盤で戦死してしまうので、肩透かしを食ってしまう。

 また、最大の敵と目されていた人物を物語の中盤で殺してしまったため、後に出てくるキャラの強さがさっぱりわからないのだ。ボスキャラクラスを倒したのだから、もう敵は大したものは残っていないと思わせておいて、そこから味方キャラが続々とやられていくのだから解せない。強さのインフレと言うと少しニュアンスが違ってくるのだけれど、でも、ボスキャラクラスを死なせる順番を守らないと、納得いく物語展開は望めない。



 と、ツラツラと文句を述べてきたけど、作者のいない作品に詮無いことをしている感じでもある。けれど、中国民衆は、この作品をおもしろいと受け容れてきたというのだから解せないのだ。

 逆に、『封神演義』という作品を日本人の観念に合わせて消化しなおした漫画作品(藤崎竜先生)にこそ敬意を払うべきだろう。日本人は小説を読んでいてもしょうがないので、漫画を読むことをおすすめしたい。



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