人間喜劇
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『蝶の舌』
【※ネタバレあります※】


蝶の舌原題:LA LENGUA DE LAS MARIPOSAS / BUTTERFLY TONGUES
製作年:1999年
製作国:スペイン  95min.

・監督:ホセ・ルイス・クエルダ
・出演:フェルナンド・フェルナン・ゴメス/マヌエル・ロサノ/ウシア・ブランコ 他

蝶の舌 - goo 映画
蝶の舌 - allcinema ONLINE
蝶の舌@映画生活


内容紹介:
病弱の少年が心優しい先生との交流を通じて成長していく姿を、そして二人がスペイン内戦という荒波にもまれて迎える悲劇のときを描いた感動のドラマ。1936年、冬の終りを迎えるガリシア地方の小さな村。喘息持ちで皆と一緒に一年生になれなかった8歳の少年モンチョ。初登校となったこの日、モンチョは怖さのあまり教室から逃げ出してしまう。そんなモンチョをグレゴリオ先生は温かく迎え、単なる勉強ではなく、自然界の驚きに満ちた仕組みや美しさを教えてくれるのだった……。

評価:★★★★☆(4点/5点)
・2005/05/21 衛星第二



 教師と生徒の心の交流というには何か乏しい。むしろ少年期の心のゆれというのがクローズアップされる。

 兄弟のそれぞれの恋心だとか友情だとかを描くのは、『リバティ・ハイツ』を思い出す。焦点を一人だけでなく、複数にあてていくと、ちょっと話がぶれてしまう感じがしてあんまり好ましく思わない。

 ただ、この映画ではフランコ政権前夜のスペインの家族の風景という意味で、必要だったのかも知れな。仲良く絆ある兄弟のどちらにも焦点があてられる。そういう意味では『リバティ・ハイツ』と共通する部分があったのかもしれない。家族の中での会話の風景という意味で、海外文化を知るのになかなか参考になるシーンが多かったと思う。



 グレゴリオ先生との交流も、映画が始まって一時間以上たっても何だかあっさりで、『コーラス』を思い出した。ただ、ラスト二十分で引き込まれることになる。

 先生と一緒に森で蝶を探しているのに、先生を放って女の子の水浴びの方に向かうモンチョ。それを見て、がっかりするどころか、告白の仕方を告げる先生。そして少女は花を受け取りキスをする。この流れは微笑ましかったし、先生とモンチョの交流が見て取れた。

 いくら子どもに心を砕いても、子どもは育ち変化し巣立っていく。先生はそれを理解しているから、モンチョを少女へと向かわせる。少年は巣立ってしまったのだけれど、それを当然のこととして受け止め、逆に羽ばたかせるという態度は心を打った。そして小さな恋のめばえも微笑ましい。



 このシーンだけでこの映画は好感あるもになったのだけれど、衝撃のラストシーンには、今度は逆に考えさせられた。共産主義として連行される先生に向かって、モンチョは石を投げ、「無心論者」「人殺し」「アカ」と罵る。そうした言葉を並べながら、最後に先生との思い出の言葉、「ティロノリンコ」「蝶の舌」と叫ぶ。

 このシーンをどう理解したらよいのだろうか。時代のせいで引き裂かれてしまった、しかし生きていくために罵倒せざるを得なかった、そんな悲しみなのか。それとも本気で罵倒していたのか。モンチョの表情から、それはどちらとでもとれるような気がして、悩みが深まる。悲しみをたたえた瞳なのか、それとも憎しみを浮かべた瞳なのか。

 既に先生から巣立っていった少年という立場を考えると、憎しみと罵倒の目だったのかもしれないという気がした。また、少年の目は悲しみよりも憎しみととれた。

 でも、状況的には悲しみなのかもしれない。なぜ石を投げなければならないのか、意味がわかっていたとは思えないし、最後に思い出の言葉を発する理由も悲しみや憎しみに他ならないからだと感じられる。



 巣立っていった少年は、この事実を理解できていないだろう。数年してから罪の意識にさいなまれることになるだろう。親鳥に石を投げてしまった自分に気づいて悩みを持つようになるだろう。でも、そのことこそがグレゴリオが教えて巣立ちさせた意味があるものなのじゃないかな。

 時代のせいだとか、あの時代は悲劇がたくさんあっただとか、そういうことよりも、師弟の間にある普遍的なものを感じたい。モンチョの成長を想像することで、それを考えたい。そんな映画だった。



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